やはり、“物語の始まり”というのはどこの世界でも、どんな人物にでも、唐突に突然に起こるらしい……
「……。……ここは何処じゃ?」
政宗は数回瞬きをした後に、そう呟いた。
そんな政宗は、バカみたいに大の字になって空を仰いでいた。
しかし、自分の目に見えるのは晴れ渡るような青い空。
ではなく、木。
それも、空を塞ぐように沢山生えている。どうやらココは、林か森らしい。
そんな考えを巡らしたところで、政宗は自分が何をしていたかを思い出そうとしていた。
確か、自分は……。と、思考を巡らしている時に気付いた。
「…何をしていたのじゃ、わしは……」
政宗はここに来る時にしていたことの記憶が飛んでいた。
いや、消えていた。
ココに来る時の事だけが、すっぽりとなくなっていた。
ただ1つ。
政宗は一番思いたくない、考えたくはない結果に行き当たった。
「……わし、は……死んだ、のか……?」
逆に言えば、そうとしか思えない。
だが。死んだのなら、どこかに傷があるはず。もし傷がなければ毒殺。
『…。…どちらも嫌じゃ』
自分で考えて出た結果に、政宗は自己嫌悪した。
そうしていると、何処からか血の臭いが風に乗ってきた。
「…戦、か?この世界にも、戦はあるのじゃな……」
政宗は立ち上がり、血の臭いがする方向へ歩き出した。
もしかしたら、何かしらの情報が得られるかもしれない。という淡い期待を持ちながら……。
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