初めて彼に会ったのは、7年前のこと。
その時の、彼の右目は、髪に隠れていた。
左目を同じイロの髪、金色の髪で左目は隠されていた。
そして、久しぶりに会った今でも、彼の左目は隠されている……
今の彼は、姿は変わっていないが、髪が伸びていた。
7年前は右目がすっぽり隠れているだけ。
しかし今は、右側の3分の1が隠れていた。
1回
そう、前に1回。俺は彼の右目を見ようとした。
一体、どうなっているのかと言う好奇心で。
彼が仮眠している時に……
だが、結局は…言うまでも無いが、
失敗に終わった………。
その時に彼は、こう言い残して去って行った。
「お前が見ても、面白いモノは無い」
………どういう意味だよ――ヴィラル。
俺は見たいんだよ。お前の右目が……
「ははっ……」
なぁ、ヴィラル。お前は知らないのか?
俺が諦め悪いのを…。アニキもそうだったように……
そうだ……。
アニキは見たのカナ?
………ヴィラルの、右目。
……もし
もし、見てたら……俺は始めてアニキに
あんたに、嫉妬するよ……。
……そして俺は、総司令室に、ヴィラルを呼んだ。
オレはヴィラルが来るのを待っている間、
アンチスパイラルの最初の攻撃を受けて、
所々破壊されいる、カミナシティ・・・・・・
―――いや。もしかしたら、ただの、名も無いシティかも知れない。―――を、オレは見下していた。
そうなると、自然に入口に背を向けることになる。
何分経ったか忘れた頃に、小さな音が聞こえた。
微かだが、布がすれる音が廊下から聞こえた。
「(・・・・・・あぁ、彼だ)」
オレは直感で、そう思った。
その直後、声が聞こえた。
オレが、ココに呼んだ人物の声だった。
「(・・・直感が、当ったようだな)」
「・・・シモン。一体何の用だ」
彼は来た。
・・・・・・何も知らずに。
オレはガラスに映った、彼を見た。
7年前に着ていた物の上から茶色系のマントを羽織って。
…きっと、後ろの腰には彼の得物である、鉈に似た刃物があるだろう。
オレは、ヴィラルの言葉を無視する。
彼のことだ。
イライラして、オレの近くまで来てくれるだろう。
後ろか、横か…。
そうシモンが思っていると、自分の近く…後ろから声が聞こえた。
「何の用なんだ、シモン」
ニヤリ…。と、心の中で笑った自分がいた。
オレは体ごと動かして、本物のヴィラルを見た。
さっきまでは、ガラスに映っていたモノを見ていた。
ガラスに映っていたヴィラルも、
今、目の前に居るヴィラルも
右目は見えない。
「…なんだと、思う?」
なんとなく、オレは聞いてみた。
「オレが知るワケないだろう」
と、当たり前の答えが聞けた。
「そうだなよな。…知ってたらこねぇよな」
「シモン?」
ヴィラルは俺の態度に不思議がった。
当たり前だ。
みんなが居る前では、こんな態度はしない。
お前だけなんだよ、ヴィラル。
お前だけが、オレをこんな感情へ導くんだ…。
「なぁ…ヴィラル」
「…なんだ」
「……」
「……」
静寂が、2人をつつむ。
そんな中、オレは言った。
「…右目、見せて」
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