「お前が……好きだからだ」
普段の声より数段低い声。
“ゾクッ”という感覚が、ヴィラルの背筋を上った。
今までに無い感覚。
しかし、それは、怖くは無かった。
シモンはそのまま喋る。
「好きだから……ヴィラルのことが…。
だから。…だから、ヴィラルの全てを、見たい。
知りたい。
だから……
……見せて?」
シモンは、右目を押さえつけているヴィラルの右手に触れた。
そして、ささやく。
「右目を…―――」
それは、甘く、甘い、ささやき。
しかし、毒のある、ささやき。
その時、シモンはあることに気付いた。
右目を押さえているヴィラルの右手に、力が込められていないことに……
「(……)」
シモンは自分の左手……ヴィラルの右手に触れている左手でヴィラルの右手を掴んだ。
そして、そのまま、下に降ろす。
「…あっ………」
ヴィラルが気付いた時には、もう遅い。
「見るよ、ヴィラル―――」
シモンは、左手で、右目を隠している、瞳と同じ色の髪を払った。
そして、シモンは、ヴィラルの右目を、見た―――
そして、時間が過ぎた。
「………」
今、この部屋―――シモンの部屋―――には、この部屋の主、シモンしかいない。
「……」
彼はベットで横になっていた。
ヴィラルは、今、ココにはいない。
「……」
シモンはヴィラルの右目を見た。ちゃんと、見た。
「………」
そう、しっかりと見た。
「………………」
何も言えなかった。何も、思わなかった。
怖いとも、悲しいとも。
何も、思わなかった。
ヴィラルの右目がどうなっているのかは、
シモンにしか分からない……
シモンだけにしか知らない……
BAD END
本当は、右目がどうなっている部分まで書きたかったんですが、
人それぞれの考え、見方、想いがあるので、その中から1つを選んで書こうとするのは
大変、難しい判断。
だから、書かなかった。
だから、皆さんの、創造・想像・妄想に任せます。ゆだねます。
本当は、最後、総司令には
「……嘘だろ……?」
という、言葉を発してもらいたかったんですが、
なんだかこうすると、可笑しくなると思い、削除。
そして、無言の総司令の出来上がり。
嘘と言うのは意味があるようでない。嘘の言葉。
そこには真実なんて含まれて居ない。
あるのは虚実。
さて、幕を閉じるか。
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